(大学教育センター講師 松野和子)

2011年4月1日付で静岡大学大学教育センターに着任しました松野和子です。「現在の私」について、(1)研究、(2)授業、(3)環境をテーマに述べ、自己紹介とさせていただきます。

第一に、研究についてです。私の研究分野は第二言語習得です。最近では、英語母語話者の言語情報処理過程と比較しながら、日本人英語学習者はどのように英語を処理して産出や理解を行っているかについて研究をしています。その中でも、現在は、英語母語話者と日本人英語学習者におけるコロケーションの情報処理過程を明らかにすることに取り組んでいます。
私たちが言語を用いて現象や出来事について表す際は、自由に語を組み合わせて、創造的に表現する場合もあれば、表現方法があらかじめ決まっており、その決まった定型パターンを用いて表現する場合もあります。コロケーションは後者にあたり、慣習的に共に用いられる語のまとまりのことです。例えば、「歯にブラシをかけて、汚れなどを取り除く」という動作は、”wash one’s teeth”, “rub one’s teeth”,”scrub one’s teeth” (「歯を洗う」・「歯をこする」)など様々な方法で表現することが可能ですが、”brush one’s teeth”(「歯を磨く」)と表現することが慣用となっています。創造的な文を初めから作り上げたり理解する場合に比べ、前もって定まっているパターンを用いる際は、情報処理を速く行うことができ、言語を負担なく流暢に産出したり理解できるようになります。そのため、言語を扱う上でコロケーションは大きな役割を果たしますが、学習者にとってはコロケーションの産出は誤りやすく難しいことが分かっています。私の研究では、英語母語話者と日本人英語学習者を比較しながら、言語情報処理過程や認知的負荷の観点から、学習者がコロケーションを容易に扱えない要因を明らかにすることをめざしています。

 

第二に、授業についてです。私は、全学教育科目として開講されている「実用英語」を担当しています。全学教育科目を担当することができて非常に嬉しく思うのは、様々な学部の学生と出会えることです。(今年度の前学期は、浜松キャンパスで週に一度授業を行う機会があり、浜松キャンパスの学生とも時間を共有できることを大変喜ばしく思っています。)学生各々の個性や学部ごとの特色に触れることができ、ひとつひとつの出会いを大切にしていきたいと改めて深く実感しています。

 「実用英語」を担当する際には、自分の専門分野である第二言語習得論を活かすようにしています。例えば、英語への負担感の軽減に加え、文を流暢に産出する力や文をすばやく理解する力、音を聞き取る力を養う取り組みをしています。その取り組みの1つとして、文法構造や語彙を学ぶだけではなく、よく使用される表現パターンについて、表現全体の音のパターンを伴いながら、複数の語を1つのまとまりとして習得していくように指導しています。(皆さんも、英単語1つ1つだけではなく、コロケーションや慣用表現・定型表現など語より大きな単位についても意識を向け、その量を増やしていくことを心がけてみてください。)また、コーパスは用例を通して帰納的に表現パターンを学ぶことができる有用なツールですが、ライティングの授業を担当する際にはコーパスについて紹介する予定です。(興味がある人は、英語コーパスの1つである右記を一度使ってみてください。The Corpus of Contemporary American English (URL:http://www.americancorpus.org/))

 私を含め大学教育センターの英語教員はオフィスアワーを設けています。英語学習の相談を行いたい人はぜひ活用してみてください。

 

 第三に、環境についてです。私の研究室は共通教育A棟5階にあり、多くの授業を4階で行っています。共通教育A棟に足を踏み入れると、授業前の廊下では学生の賑やかな声が明るく響き、授業中の廊下では先生方の熱心な声が心地よく響いています。事務室へ訪れると、事務の方々が朗らかな笑顔とともに適切に対応してくださり、大変助かっています。他の先生方と話をしながら、教育や研究に真摯に向かい合い、常に探究心と向上心を持っている姿に大きな刺激を受けています。

 また、共通教育A棟5階や4階の窓から見える景色にはいつも心を奪われています。晴れた青空の下では、緑映える山々に魅了されます。灰色の雨雲の下では、霞がかった山々を背景に市内の建物がくっきりとそびえている風景に美しさを感じます。白をまとう朝、太陽が照り輝く昼、遠くの藍色の山々に市内の電燈煌めく夜、それぞれの景色に目を奪われずにはいられません。学生の皆さん、教室の窓から見える景色のように、大学生活では、うまく成し遂げることができて心が澄み渡る日もあれば、失敗をして心が曇る日もあるかもしれません。しかし、窓から見えるどの風景もすばらしいように、どの経験も今後の糧になっていくすばらしい経験だと思います。卒業をして大学生活を振り返った際に、「うまくいくことも、うまくいかないこともあったけれども、静岡大学で学んでよかった」と思ってもらえたら、一教員としてこの上なく嬉しく思います。

 

以上が「現在の私」についてです。これからも「よりよい私」をめざしていくことを忘れず、自分自身を錬磨し続けていきたいと考えています。

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