2010年度静岡大学教員免許状更新講習の実施状況

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(大学教育センター 学術研究員 望月 耕太)

本学では2009年度より教員免許取得者の教員免許の更新のために、教員免許状更新講習を(以下、更新講習とする)を実施しています。更新講習の実施は、今年度で2年目になります。初年度の様子については、以前のNEWSLETTER(2009年10月号)に花井信氏の論考が記載されておりますので、本稿では更新講習の目的と内容についての説明と2年目を迎えた今年度の更新講習の様子を報告します。

まずは、更新講習の目的と内容について簡単に説明いたします。更新講習の目的は、文部科学省が示している教員免許更新制の目的の部分を抜粋して記します。「教員免許更新制は、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識能力を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。」これは、教員の知識や能力のリニューアルを目的としているとも言えます。

教員免許を更新するためには、2年間に大学等が提供する講習を30時間以上受けなくてはなりません。講習の内容は必修領域と選択領域の2つに分かれています。必修領域は法律で定められた内容の講習を12時間以上受けることが求められており、選択領域は自分の好きな内容の講習を選択し18時間以上受けることが求められています。もし、期限内に教員免許の更新のための講習を受けずに免許を失効してしまうと、免許を使用することができなくなってしまいます。しかし、一度免許の失効をしてしまっても自動車の運転免許のように、一から免許を取得するための講習を受け直す必要はなく、先ほど述べた更新講習を受ければ、再び教員免許は有効になります。

 次に、今年度の本学の更新講習の様子について報告いたします。本学では、8月、10月、11月に講習を実施していますが、その中でも既に終了した8月に実施した講習の様子について報告します。本学は8月に、12時間を1つのまとまりにした必修領域を3講習、6時間を1つのまとまりにした選択領域を48講習実施しました。本学の講習の特徴として、講習を担当する講師が本学の教員だけではなく浜松医科大学、静岡県立大学、聖隷クリストファー大学など、他の大学の教員と協同して担当していることが挙げられます。また、講習会場を、静岡県内の東部(三島)、中部(静岡)、西部(浜松)に分けて実施していることも挙げられます。今年度は、必修と選択の講習を合わせてのべ1950名の受講申込がありました。受講申込者の多くが静岡県内に勤務されている教員の方ですが、一部他の県の教員の方からも受講申込をいただきました。

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受講者の様子は、受講者に対し実施したアンケートの結果をもとに述べさせていただきます。半数以上の受講者は、更新講習をきっかけに学習意欲を高めた一方で、同じく半数以上は更新講習によって教職に対する自信と誇りを高めることにはならなかったことが分かりました。また、講習の内容に対する満足度はおおむね高いのですが、更新講習自体の必要性は感じられていないことも分かりました。さらに、受講者からは「講習によっては自分の課題や教師としてのあり方を見つめ直すよい機会となったことは確かである。かといって更新講習が必要であるか否かについては全くそうは思わない」という意見も寄せられています。

先日、文部科学省より来年度も更新講習を継続することが発表されましたが、更新講習は様々な課題を抱えていることも事実です。政権交代やねじれ国会の影響もあり、更新講習の今後の展開については不透明な部分がありますが、この2年間の取り組みによって明らかになった成果と課題をどのように本学の大学教育に結び付けていくのかを考えていく必要があります。