国際ビジネスコミュニケーション協会主催「社員の英語力向上のためのセミナー~使える英語の効果的習得法~」に参加して

大学教育センター講師 松家 由美子

 2015年1月23日に、TOEIC事業等を展開する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会主催の英語力向上のためのセミナーに参加いたしました。将来、英語を必要とする社員を抱える企業向けの社内教育の説明もありましたが、英語セルフトレーニング法指導の第一人者である千田潤一氏が英語の効果的習得法について講演され、日々英語を教える立場にある教員にも、大変有意義な機会となり、静岡大学での英語教育にもぜひ生かしたいと思いました。千田潤一先生は、大手企業や英語教員、学生向けに数多くの講演をされ、NHKの語学番組にも出演されていますが、トレーニング法は試行錯誤を重ねられた経験に基づき、当日、参加者も試したトレーニングは、短時間ながら効果をすぐに実感できる内容でした。大学生も含めて日本人の英語学習者は、英語の学習には受け身になりがちですが、学習法を少し工夫すると、1つの教材から複数の効果が期待できることがわかりました。セミナーで講演された、英語のセルフトレーニングの方法と心構えを紹介します。
 
1.音で読む
 日本人の英語学習者はリスニングが苦手な傾向がありますが、リスニング能力の向上には英語の音を少しでも多く耳に入れることが重要です。一度ではわからないことはよくありますが、聴いてわからないときは、再度、聴きながら文字を追って、ブツブツと5回くらい言ってみます。ネイティブとのスピードの違いに気づきますが、この違いに気付くことと、スピードの違いを埋めようとチャレンジすることが速読力につながります。忙しい生活の中で時間を取ることは、努力が必要ですが、まず通学時間や待ち時間を有効活用することが肝心です。通学時間は英語学習のゴールデンタイムで、例えば通学時間に片道30分、往復で60分をリスニングに充てると1週間で300分、継続すれば1年後にはTOEIC100点アップが期待できるとのことでした。

2.サイトラ
 「サイトラ」とは、「再度目に見えたものをトランスファー」です。リーディングのトレーニングには意味のかたまりでスラッシュを入れていくスラッシュリーディングが効果的です。たとえば主語と動詞の後や、前置詞の前でスラッシュを入れると話の主な筋が出来上がります。さらに前置詞が持つ意味の、「いつ、どこで」といった情報が加わると、英語の順序で意味がつかめ、英語の情報処理能力が向上し、英文を英語で理解する、考える力が付き、読むスピードが速くなる効果があります。
3.音読
 TOEICの練習問題も単語や英文を音読することが非常に有効です。「音読すると耳が開く」と言われるほど、音読はリスニング能力の向上に効果があります。前述の「音で読む」トレーニングと関連しますが、声に出して読むことで、力がつきます。音読を続けていくと変化が感じられ、“Experience is the best teacher.”というように、音を体感すること、つまり、どのような音なのかを自分の体で再現してみることでリスニング力を伸ばすことができます。

4.ディクテーション
 多くの日本人英語学習者が体験することですが、英語は聴いただけの音声では中学1年生レベルの英語でも理解できず、壁にぶつかることもあります。これは音と文字がすぐに結びつかないことによるものであり、千田先生は、英語がわからないのではなく、英語との付き合い方がわからないだけなのだ、と述べられましたが、とにかく聴こえた英語を文字にしてみる、カタカナでもいいから書いてみることが英語力の向上につながります。簡単なことでも労を惜しまないということです。

5.音読筆写
 前述の音読では「音読をすると耳が開く」でしたが、次のステップとして、音読をしたものを書き写すトレーニングで、「音読筆写すると口が開く」と紹介されたように、筆写は語彙力の増強に非常に効果的です。わからない英文があれば、何度も書いて、音読をします。どちらかではなく、声に出して読むことと書くことの両方を行います。これは指先の神経と脳の神経は同じように発達するため、指で覚えたものは頭にも入りやすいため、ということです。続けていくと、口が開く、つまり、口から自然に英語を発する力が付き、スピーキングや英作文の向上につながります。

 このほかにも、テレビの副音声でニュースを聴くことも英語力の向上に効果的であり、話題になっているニュースやスポーツに関する言葉の語彙力向上に効果的とのお話でした。「八百長」(fixed match)など、語源はわからなくても日本語として広く知られている言葉を簡単に表すことができれば、便利に英語を使えます。英語力を向上させてTOEICなどで目に見えた成果を生むためには、ある程度の時間と継続が必要ですが、方法は必ずあります。読むだけ、聴くだけではなく、自分の五感をなるべくたくさん使うこと、つまり、英文を書いたり、声に出したりすることで英語のインプットもアウトプットも向上します。千田先生が強調されたのは、「苦痛になるまでやらない、明日もやってみよう」と思えるところでやめる、ことでした。学生の皆さんもこれから就職活動、大学院入試、さらに社会に出てからも英語との付き合いが続くと思いますが、ぜひ継続して英語を学んでほしいと願っています。

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