2015年度「教育実習に向けた心がまえ講座」を実施して
池谷昌樹(学生支援センター)・松尾由希子(教職センター)

1 今年度の取り組み―教職事務担当者会議での依頼を受けて
 2013年度から静岡キャンパスで始まった池谷昌樹先生の「教育実習の心がまえ講座」も今年度で3回目を迎えました。これまでの講座は希望者を募って開催していましたが、今年度より原則として教育実習参加者全員が出席することになりました(授業等の関係で工学部は参加できる人のみ参加)。
 「ルール変更」の契機となったのが、2014年11月28日に開かれた第1回教職事務担当者会議です。この会議は、全学の教職に関わる事務職員(各学部の教職担当の学務係や学務部教務課など)と全学教職担当の教員で構成されています。この会議については、学務部教務課の柴田大樹さんが「教職事務担当者会議の設置と開催」(静岡大学大学教育センターHP、2015年2月5日掲載)に記録してくださっていますので、参照ください。第1回目の会議は、教育実習や教員採用試験への対応やサポートの実態及び課題を中心に情報や意見交換が行われました。その中で、ある学部の学務係から「教育実習の心構え講座に、教育実習参加者全員を参加させたい」との発言がありました。後日、講座を担当していただいている池谷先生にご快諾いただき、石井先生や教務課及び就職支援課と話を進め、これまで1年に1回開いてきた講座を4回に増やして実施することになりました。当初、浜松キャンパスの学生はTVを通じての受講予定でしたが、浜松キャンパスの教務委員長から「講座の性質を考えると、浜松キャンパスまで講師の先生にきていただきたい。」との依頼があり、浜松キャンパスでもTVを使わずに開催することになりました。今年度の日程は以下の通りです。

1 4月16日(木)14時30分~16時00分 理学部    35名
2 4月16日(木)16時05分~17時35分 理学部    25名
3 4月23日(木)16時05分~17時35分 人・農学部  37名
4 4月30日(木)13時30分~15時00分 情報・工学部 10名

2 教職員の役割分担
 講座開催にあたり、私が行なったのは開催日の調整と講座の内容確認です。全学の学生が講座に参加しやすいのは木曜日の午後になりますが、木曜日の午後は他にも複数の講座やガイダンスが開催されているため、学部ごとに調整しなければなりません。講座内容の打ち合わせは池谷先生と行ないますが、講座開催も3年目になりますのでこれまでと大きく変わることはありませんでした。ただ、今年は池谷先生から「これまでの教育実習で困ったことはありませんでしたか。」と質問がありました。教育実習中の学生の状況については、学部の学務係が一番詳しく把握しているため、学務係に問い合わせたところ、これまでの実習生の「失敗話」などがあがってきました。池谷先生はこれらの情報を、個人名が特定されない形で講座の内容に入れてくださいました。
 学生への連絡、会場設営、当日の出欠確認は、各学部の学務係が担当してくれました。ただし、理学部については私と学務係の確認ミスで学生に講座の日程が伝わっておらず、講座当日まで連絡に追われてしまい、池谷先生と学生に迷惑をかけてしまいました。今後、このようなことがないように学務係と確認を重ねていきたいと思っています。

3今年度の受講生の感想と課題
 池谷先生の講座への満足度は例年非常に高く、今年も「大変満足」と回答した学生がほとんどでした(池谷先生の実施したアンケートより)。その理由は、実践的かつ具体的な内容にあると思っています。学生の感想には「自己紹介など、考えておかなくてはならないことを考えるよい機会になった。」「とてもよかった。声の出し方の秘訣と話題を考えることはためになった。」「楽しく、実習への心がまえがついた。一度、多数の前に立つ経験ができてよかった。」などとあります。また、池谷先生は笑顔でポジティブに教育実習について話されるので、教育実習前で不安になっている受講生の気持ちが前向きなものに変わるようです。学生からは「わからないことが多いため不安が多い中、今回話を聞けてためになった。」「より具体的な話が聞けたので、安心した。少し実感がわいた。」「教育実習が楽しみになりました。」という声があがっていました。
 一方で、課題もあります。1つは、上記したように学生への連絡です。この講座は4月に実施するため、年度末に打ち合わせや日程調整を行ないます。3月は人事異動や新年度への準備など、あわただしい時期であるうえに、人が変わり情報量も多くなります。そのため、他の時期に比べると連絡ミスがおこりがちです。来年度以降は同じことを繰り返さないように、確実に学生に連絡していきたいと思います。2つは、受講対象者です。人文社会科学部は3年生で実習に行く学生もいます。そのため、今年度も昨年度に引き続いて受講する人もいました。内容はほとんど変わらないため、「1度の受講でよい。」と考える学生もいます。池谷先生からもご意見をいただき、来年度より3年次に教育実習を経験した学生については受講を義務づけないことにしました。
 5月6月に教育実習に行っていた学生が戻ってきています。授業や生徒指導などさまざまなことを先生や生徒から学んできたようです。来年度以降も、充実した教育実習になるように学生を支援していきたいと思います。
 (文責:松尾由希子)

4 「教育実習に向けた心がまえ講座」を実施して
去る4月16日から30日までの木曜日、各学部の教育実習予定者と、「教育実習に向けた心がまえ」講座を行いました。

昨年度までは希望者のみでしたが、今年度は教育実習予定者全員を対象とした講座となり、合計105名でした。理学部の学生は、アクシデントがあったにもかかわらず非常に積極的で元気な活動ができました。人文社会科学部・農学部の回は、37名の人数分以上に熱気あふれる時間を過ごすことができました。浜松の真摯な姿勢を持った学生と一緒に講座を持てたことも、私にとって大きな喜びです。

『「出の顔」について、とても感心しました。自分も、声のこと、手のこと、気にしていきたいです』

その時間の受講者数によって1〜2回と回数は変わるものの、学生全員に教壇に立ち生徒に対して話をする機会を設けました。

昨年度までの様子から、声が小さすぎたり緊張のあまり声が出なくなってしまう学生が一人や二人いるだろうと考えていたのですが、あにはからんや、どの時間の学生も自己紹介や経験談をしっかりと話すことができたのは、うれしい驚きでした。

『実際に自分の声で人の前で発表する取り組みがよかったです』

教壇に立つ機会の少ない学生たちにとって、教師を意識して話す経験を提供するのは大切なことだと、あらためて感じました。初めは少々聴き取りにくい話し方の学生でも、「声は大きくしなくとも、子音を伝えようとするだけで声は通る」という一つのアドバイスだけで改善され、学生の力を頼もしく感じました。

『声の出し方の秘訣と話題を考えることは、ためになった』

「生徒に対して、初めてのあいさつと自己紹介をする」想定での演習は、短い時間ながら個性があり、有意義なものでした。研究について語る学生、サークルについて身振り手振りを交えた熱い話、進路を静大に決めた高校時代の話・・・

生徒たちを前に語るとき、学生は、「自分自身の経験が持つ価値」「語る値打ちのある経験を持つ自分」を探し、価値づけ、一つの話として組み立てることでしょう。数週の間には、おのれの価値判断を迫られる場面にぶつかるかもしれません。そんな経験を積み重ねてほしいと強く思います。自己を肯定することで、信念と思いやりが、より強くより深く育まれると思うからです。

この記事を執筆しているいま、学生たちは実習校で汗をかいているでしょう。

教えることは、学ぶこと。

教職に進む。他の進路をとる。実習後にどちらを選ぶにしても、生徒たちから何かを学び、一回りたくましくなって大学に帰ってくることを願います。
(文責:池谷昌樹)

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