プレゼンテーション入門でのフィールドワーク実践報告 その3

山本隆太・山本好比古・坂井敬子・須藤智

1. 全体の枠組み
_静岡大学では、平成28年度から地域創造学環が開始されました。本年度、大学教育センター教員が、地域創造学環の教養科目「プレゼンテーション入門」を担当しています。この授業では、レジュメやスライドによる情報伝達能力を育成する目標に加え、静岡県の地域的課題を発表のテーマとして取り上げることで学生の地域志向を促すことを目標としています。また、今後の全学教育科目における地域志向科目において、同様の科目が、展開可能かどうかCOC+事業の枠組みの中で検討しています。今回は、4クラスがそれぞれいくつかのフィールドに出向き簡易なフィールドワークを実施してきましたので、それぞれを連続で報告いたします。(文責:須藤)

2. 坂井クラスでのフィールドワーク紹介
_坂井クラスでは,6月半ばまで『東大がつくった確かな未来視点を持つための高齢社会の教科書』(ベネッセコーポレーション)について,レジュメによる輪読を行い,高齢化の中で社会や個人にどんな視点が必要か,理論的な背景について学んできました。さらに本クラスでは,高齢者施設と地域とのつながりについて,静岡の事例を調べています。
_その一環として,今回クラス全員で訪問したのは,静岡市清水区にある特別養護老人ホーム こもれび(社会福祉法人吉原福祉会)[右写真]です。さかい1
事前学習ではホームページをみて特徴的な取り組みを知り,質問リストを作成してフィールドワークに臨みました。

3. モットー「私らしいをいつまでも」の実現を体感する
_当日は,見学と,質問への回答としてレクチャーを実施していただき,施設のモットー「私らしいをいつまでも」を実現する取組の具体的内容と工夫についてお話を伺うことができました。

_こもれびの第一印象は,なにより雰囲気の明るさ。利用者や職員の方々が活き活きとされ,どこに伺っても私たちに気さくに声を掛けてくださいました。
事前学習で私たちの興味の的になったデイサービスセンター「ひだまり教室」に入ると,地域から集まった何十人もの方がにぎやかに休み時間を過ごされているところでした。ここでは,1日に4限分ほどの「授業」があります。利用者自身が何かを達成できることを大切にし,講師は職員の方が担当,レパートリーはなんと数百あり,どんどん改善を行っているそうです。地域での人気は高く,利用者の方がさらに新しい利用者の方を連れていらっしゃるそうです。
_また,入居者以外の地域の方々との交流についても情報を得ました。こちらの名物であるアジサイの庭の手入れには,その後の打ち上げを楽しみにして,数十人もの方がボランティアで参加されるそうです。地域の方に健康情報を提供するため,定期的に座談会も実施されており,地域に開放された場所であることが伺えました。
_その他にも,入居者の方が日々を過ごす居住スペースを拝見しました。キッチンなど共同スペースのレイアウトや,チラシを配って申込者を募集する行事参加のシステムは,一人一人の志向や生活ペースを大切にしていて,施設というより,家や町内の雰囲気を作り出していました。さかい2

4. フィールドでの気づき
_下記はごく一部ですが,学生の感想です。
▶行ってみなければわからないことがたくさんあった。ホームページを見るだけでなく,自分で足を運ぶのが大切だと思った。
▶高齢者の主体性を尊重していてイベントやグループ活動も自主参加が多く,より家にいる環境に近いのだと感じた。
▶「日常感」と「施設感」の違い,違和感を職員の方が探し,レイアウトや考え方を変えているところが職員の志が高くないとできないし,こころから仕事をしている印象を受けた。
▶「施設っぽくない」という言葉通り,高齢者のみなさんも活き活きとしていたし,施設自体も明るい雰囲気でした。こもれびの在り方をみて「知らないうちに地域へとアピールしている」ことが,老人ホームの理想形ではないかと思いました。
さかい3

_本フィールドワークを境にして,このクラスでは,グループごとに事例を検討し,まとめる段階に入っています。8月8日の最終発表会での成果は,フィールドワークでお世話になった方々にも感謝の気持ちを込めて報告します。(文責:坂井)

 

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