教員と図書館員による協働授業の内容変更の試み―著作権に注目して

                                            渡邊貴子(図書館情報課 分館サービス係)

 2012年度から、教職センターの教員と図書館情報課で教職協働を行なってきた。協力して実施した授業を協働授業と称し、実施回数は試行期間を含め15回である。協働授業の詳細は、担当者が「静岡大学教育センターニュースレター」、『静岡大学教育研究』で報告しているので、そちらをご参照いただきたい。

 今回の報告は2015年度に実施した協働授業についてである。協働授業は、教員と図書館情報課との間で調整が必要となり2015年度をもって休止しているが、大学教育において教職協働の必要性が叫ばれる中、その事例の一つとして記録に残す必要があると思い、少し時間が経ってしまったが、ふりかえりたい。

 協働授業を図書館の業務として行なった期間は2013年から2015年までの2年間だった。将来教員をめざす学生には、実施しはじめた時期よりさらに具体的で実践的な能力が求められていた。当時、教員から筆者へ授業開発の相談があり、2015年度の協働授業担当を希望していた筆者が静岡キャンパスの後学期の「教育の原理」において、内容変更を試みた。社会やニーズの変化により協働授業の内容も変更していく必要があるためだ。

 これまでは、論文や新聞記事をデータベースで検索するための検索方法、書誌(引用文献)情報の記述方法を教えてきた。2015年度の後学期の静岡キャンパスの「教育の原理」では著作権に関わる内容も加えた。静岡キャンパスの受講生の多くが、著作権と出典に関して、受講の機会がなく出典の書き方や出典を書く意味など、著作権の重要性を理解していないことが、教員によって判明したからである。教職課程を履修する学生は、将来教員を目指す学生でもあるため、適切な知識を身につける必要がある。

 著作権は、文化庁ホームページに掲載されている「みんなのための著作権教室」を教材に概要を説明した。「みんなのための著作権教室」を教材にしたのは、平易な表現を使っていて、小学校から高等学校における授業で著作権遵守を説明するときにも利用できると考えたからだ。文化庁のホームページには、著作権に関する複数のコンテンツが準備されている。卒業後、学生が教員になったときに、「文化庁のホームページで著作権について情報提供されている」ことをあらかじめ知っていれば、教育の現場においても利用できる。その中の事例から「作文に大好きな小説の文章をつかう」を用いて、出典について説明した。さらに著作権に関してより具体的に説明するために、教員からアドバイスを受け、「STAP細胞」と「2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムのロゴ問題」を話題にした。説明には、新聞記事を引用し、それぞれの事件の問題点を明確にしたうえで、論文不正、捏造、改ざん、無断転用にふれた。当時、事件として報道され、世間を騒がせた身近な話題だったので、多くの学生が関心をもっていた。

 将来教員をめざす学生は、著作権、論文や新聞記事の検索方法にとどまらず、情報リテラシーに関する正しい知識と理解が必要である。その理由として、「今日の教員は教職に就いた後も学び続けていくことが期待されている」こと、「今後、学校種を問わず、アクティブラーニングが導入される」ことが指摘されている。教員はこれらの点に着目し、他大学の事例をもとに、幅広いテーマから情報を収集し、取捨選択し、情報の分析や評価をしていけるような授業をめざし、授業開発を考えていた。それについて、教員からも図書館員とのコラボレーションの希望があり、また筆者もそれが可能であろうと思っていた。しかし上述の通り協働授業を休止しているため、この授業開発にも図書館員が協働することはなくなった。

 時々刻々と様々なことが変化する中、学生の気質やニーズも大きく変化している。その気質やニーズを的確にとらえ、今後も図書館員として大学図書館におけるサービスのあり方を考えていきたい。

 

参考文献

1.みんなのための著作権教室(文化庁ホームページ)

http://kids.cric.or.jp/

2.渡邊貴子, 松尾由希子.教員との協働授業を通じた図書館員の成長と課題実務担当者への質問紙調査の分析-.静岡大学教育研究.no.12,p.41.

http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/9471

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