大学教育センター 特任助教 髙瀬 祐子

 2月28日、2週間前の大雪の名残でまだあちこちに雪の残る東京もこの日は春の陽気であった。玉川大学が2年前から実験的に進めてきたELFプログラムが来年度からELFセンターを開設し、本格的に新しいプログラムをスタートすることを記念し東京駅直結のステーションコンファレンスでフォーラムが開かれた。新しい「ELFプログラム」とはどのようなプログラムなのか、興味を抱き参加した。

 ELFとはEnglish as a Lingua Franca の頭文字である。リーダース英和辞典によれば、Lingua Francaとは、「イタリア語、フランス語、スペイン語、ギリシア語などの混成後」で「異民族間の共通語、仲介語、意思伝達のかけはしとなるもの」である。また、ジーニアス英和辞典には「(異なる言語を話す人々の間の)国際共通語」とある。玉川大学のホームページでも「リンガ・フランカ(Lingua Franca=共通の母語を持たない人同士のコミュニケーションに使われる言語)」と紹介されている。ただの「English、英語」ではなく、「ELF」と提示することにより、そこに含まれる英語は、英語を母語とするネイティブスピーカーが使う英語だけでなく、ノンネイティブスピーカーの英語も含まれる。コミュニケーションツールとしての英語であることがより強調される。

 実際に玉川大学のELFプログラムでは、英語教員や非常勤講師としてノンネイティブスピーカーを数多く採用し、もちろんその中には日本人も数多く含まれている。学生は、中学や高校の英語の授業でスピーカーから流れてくる英語だけが英語ではないということを体感することができるし、様々な文化的背景を持った英語話者と学習することができる。また、英語の時間数は決して多くはないが、予約制のチューターを置くことで英語を話す機会を授業時間外に確保できる。ELFプログラムとは、学生がネイティブスピーカーのような英語を話せるようになることが目標ではなく、英語を使い、世界中の人々とコミュニケーションを取れるようになることを目指すプログラムである。

 また、今回3人の講師の先生方によって行われた講演を通して感じたことは、英語教育の地域性、土着性である。日本の英語教育もしばしば「6年も英語を勉強しているのに話せるようにならない!」とバッシングを受け、世界の英語教育と比較されてきたが、果たして本当に日本のこれまでの英語教育はまちがっていたのだろうか。それぞれの国の国民性や社会的・文化的な背景は異なる。地理的な事情やもともとの公用語による違いも大きい。A国で成功した英語教育がB国でも同様の結果をもたらすとは限らない。様々な国でどのように英語が教えられているかを知ることは非常に興味深く、勉強になることも多いが、それを踏まえて、日本のコンテクストに合った英語教育を探る必要があると感じた。

長年日本で行われてきた訳読式や文法重視の英語教育は、批判の対象となることも多いが、受け入れられてきた年月から考えれば、日本人に合っていると捉えることもできる。私自身も英語を勉強すればするほど、きちんと訳すことの難しさや文法知識の重要性を感じている。玉川大学のELFプログラムの今後の成果に注目しつつ、静岡大学の学生に合った英語教育の可能性を探っていきたい。