【翟 勇・大学教育センター】「世界のことばと文化」の課題

「世界のことばと文化」の課題

(大学教育センター 講師 翟 勇)

_グローバル化が進んでいる中、自分の母語と英語以外、もう一つの言語が使えることもますます重要になっていく。静岡大学工学部では、2013年度に「世界のことばと文化」を開講した。「世界のことばと文化」はドイツ語・フランス語・中国語・スペイン語・現代韓国語・ポルトガル語の特徴とその文化的背景についての講義科目である。工学部生は希望すれば2~4年次に初修外国語を履修できるが、その履修条件として1年次に「世界のことばと文化」を受講する必要がある。

_「世界のことばと文化」は二つのクラスがあり、2013年度受講人数は243人、2014年度は286人にものぼり、多人数の授業だった。そこで、「世界のことばと文化」の授業をよりよくするために、2年間の授業担当を通じて改善すべきところをまとめた。

1.出席確認方法

_2013年度の授業では、A3サイズ1枚に「回数/月/日/授業タイトル/学んだこと/感想」という項目を記載している「大福帳」を毎回の授業で配り、そして回収して、出席確認を兼ねた。しかし、次の問題が出てきた。①代筆;②多人数なので、授業始めのコメント返しに時間がかかった;③コメントへのフィードバックは少なくとも三日間かかり、相当苦労していた。

_2014年度では、二つのクラスは異なる出席確認方法を取った。

_一つのクラスは相変わらず「大福帳」の方法を使った。ただ、上記の問題点①と②について、以下の方法を用いて解決した。

_①について、「よくわかった」「興味深かった」など1行の短い文は書いたものとして認めないという条件を加え、代筆の問題を解決した。

_②について、コメントペーパーは専攻ごとに分け、更に受講生が多い専攻の場合、学籍番号順に分け、そうすることによって、授業始めのコメント返す時間を短縮した。しかし、コメントペーパー分け作業の時間がかかった。

_2014年度の受講生は2013年度より増え、コメントへのフィードバックは更に時間がかかり、またコメントペーパー分け作業の時間も必要となり、体の限界を超えるほど辛かった。

_もう一つのクラスは「座席指定」という出席確認方法を取った。一つの列は15人、10列で学籍番号順に座席指定した。欠席者と遅刻者はすぐ分かり、①、②、③の問題もすべて解決できた。しかし、アンケート調査では、「座席指定」について、不満を感じる学生が多くいた。

_2013年度と2014年度の試行錯誤を経て、2015年度の授業は「大福帳」の方法を使う予定で、「大福帳」の項目変更を考えているところである。

2.「初修外国語」を履修する人数

_2013年度「世界のことばと文化」を履修した人数は243人もいたが、2年次に初修外国語を履修した人数は169人であった。つまり、74人は初修外国語を履修しなかったことになる。2014年度「世界のことばと文化」を履修した人数は286人だったが、2年次に初修外国語を履修した人数は141人、つまり、145人は初修外国語を履修しなかった。2年目の年は初年度よりも初修外国語を履修しない学生が増えた。2015年度では、初修外国語の重要性をより一層アピールし、初修外国語を履修する人数を増やすように工夫する。

3.「初修外国語」担当先生と「世界のことばと文化」担当先生の統一

_2013年度と2014年度では、中国語とポルトガル語の先生は「世界のことばと文化」と「初修外国語」を両方担当しているが、ドイツ語、フランス語、スペイン語、韓国語は異なる先生が担当している。同じ先生が両方の授業を担当したほうがいいという学生の意見がある。現状では、すべての言語において先生が統一するのが難しいが、2015年度では、スペイン語は同じ先生になった。

_2015年度の「世界のことばと文化」の授業は2013年度と2014年度の経験を生かして、よりよい授業を目指したいと思っている。