【山下 晃司・学務部教務課副課長】平成26年度静岡大学SD研修会報告

平成26年度静岡大学SD研修会報告

山下晃司(教務課副課長) 

日 時:7月22日(火)14:00~15:30
会 場:共通教育A棟301、総合研究棟24
講 師:山形大学地域教育文化学部 教授 小田隆治氏
テーマ:大学改革の渦中にある大学職員の能力開発
参加者:教職員69名

 SD(職能開発・スタッフ・ディベロップメント)という言葉は、「学士課程教育の構築に向けて(平成20年12月24日中央教育審議会(答申))」で使われているが、小田先生が勤める山形大学は、答申以前から「FDに合わせてSDも必要だ」という認識があり、平成15年に第1回SD研修会を開催している。(参考までに、静岡大学では第2期中期計画を受け、主として教学の現場にいる事務職員を対象に、平成22年に「SD研修会」を開催した。)また、私が平成21年に参加した「第3回大学セミナーハウスFD研究会」でも小田先生は講師を務められた。SDや教職協働といった言葉が目新しい頃の研究会だが、山形大学はこの平成21年には、他大学を巻き込んだ「大学間連携SD研修会」を開催していた。この両方の研修会の仕掛け人が小田教授であるが、教員が事務の職能開発に関わっていることに驚いた。加えて、学生支援体制の面では「東の横綱」と言われる山形大学にも興味を持っていたので、いつか静岡大学の職員にも小田先生のお話を聴いて頂きたいと思っていた。今回、大学教育センターの佐藤教授のご尽力で、小田先生を講師にお招きし、SD研修会が開催されたが、私の念願も叶った次第である。
 さて、本SD研修会は「平成25年12月の中教審大学分科会組織運営部会の『大学のガバナンス改革の推進について』の“学長補佐体制の強化”の中に、今後、各大学による一層の改革が求められる中、事務職員が教員と対等な立場で“教職協働”によって大学運営に参画することが重要であり、企画力、コミュニケーション力、語学力の向上、人事評価に応じた処遇、キャリアパスの構築等についてより組織的・計画的に実行していくことが求められている。ついては、高度の専門性を有する職種や、事務職員等の経営参画能力を向上させるため、大学が組織的な研修・研究(SD)を実施することが重要である。」という主旨で開催された。講演の内容は、「大学の使命」、「大学が生き残るためには」、「人材育成」、「大学職員の職能開発(前述の中央教育審議会答申)」といった話を前半にされた。この中で、「昔の大学は、こうした研修会以外でも、宿直や就業後のマージャンといった中で、専門的な知識や仕事のノウハウ等を先輩から後輩に伝えていった」という話をされたが、事務の私もこの辺は気がつかず、客観的に事務職員を見られている小田先生ならではの興味深い話だった。
 次に、「大学職員に必要とされている能力とは何か」、「教員・学生とのコミュニケーションの重要性」、「他部署とのコミュニケーション・情報共有」、「市町村等との連携により地域に貢献するSD」「大学間連携SDの波及効果」等について、山形大学での様々な事例を基に話をされた。まとめとして、「FD・SDは我々(学生・教員・職員)の望む校風を創りだす持続的な営みでなくてはならない」、「新しいことにチャレンジし続けることによって、組織の鮮度を恒久的に保つことができる」という話で締め括られたが、「これまでの話も、(山形大学の)職員がいなければ出来なかった」という言葉が、同じ大学職員として非常にありがたいと思った。
 ところで、私が一番気にかかったのが、仕事をなす基盤として、「Animal Spirit(意欲、覇気、血気)、意欲なくしては何もできない」という話だった。講演後、小田教授に直接お話しを伺う機会があったので、「個々の職員が意欲を持つことが一番難しいのではないでしょうか?」という質問をさせて頂いたところ、「その通りで、個人の感性や気づきといった問題にもつながるので非常に難しい。しかし、組織としては、各職員が意欲を高められるように持っていくことが大切だ。」という主旨の答えを頂いた。
 受講生からは、「SD研修を通して事務職員から出されたプロジェクト案が、大学のプロジェクトとして採択する山形大学の懐の深さを感じた」「今回のような職員の意識向上につながる研修は本当に大切だと思うが、誰も参加しなければその目的をなすことはできない。より多くの受講者を出せればと思う。」「非常に興味のある話が多く参考になった。『あっとおどろくNG集』を観てみたい。」「小田先生に勇気づけられました。ありがとうございました。」等の感想があった。私が期待したとおり、静岡大学の職員にインパクトを与えてくれた講演会(SD研修会)だった。