今回の「教員からのメッセージ」は、海外での研究経験をお持ちでもある理学部地球科学科 木村浩之准教授にお聞きします。

Q: 学部生は34年次に専門の勉強を進めていくと思いますが、その際にどの程度の英語力が必要となってきますか。

木村先生(K): あくまで私の所属する理学部地球科学科の話ですが、3年の夏休み直前に研究室に配属されます。そこで卒業論文のための研究を行っていく際に、どうしても英語の論文を読まなくてはいけません。週に1本程度の論文は読み、ポイントを捉えていきます。しかし、3年次から急に論文を読むといっても厳しいので、地球科学科では1年次に「地球科学入門」という授業を開講しています。「Earth Science」という英語のテキストを使用して、前期2コマ、後期2コマ、計1年かけて地球科学の基礎について英語で学びます。予習が必須となり、週に20ページ程度進みます。テスト時には英語で説明された内容を表す専門用語を英語で書いてもらったりもします。

 したがって、3、4年次に専門の論文を読む際には、専門用語は英語で入っていることになります。3、4年次には、2年かけて「地球科学論文演習」を受講します。研究室ごとに指導教員が指導していくのですが、学生は英語で書かれた論文を読んで、日本語でまとめ、パワーポイントを使用して発表します。英語の論文を読むと同時にプレゼンテーションの練習にもなります。

 院生レベルになると、海外の学会でポスター発表なども行うので、最終的にはスピーキングができることが望ましいです。先日、私も国際シンポジウムに参加したのですが、様々な分野に関して英語で発表し、その後、議論しました。やはり、これからの時代、英語を読めて書けるだけでなく、英語で議論できないといけないと思いましたね。

 

Q: 先生は海外での研究経験もお持ちということですが、どちらに行かれたのですか。

K: アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で2年間、研究を行いました。滞在中、研究内容について研究室の教授と2人で議論したり、週1回のミーティングでは研究報告を行ったりしました。そのような研究環境で、何とか英語でコミュニケーションを取っていました。

 

Q: 日本とアメリカで違いを感じましたか。

K: やはり、アメリカはお金さえあれば、何でもできる国です(笑)。日本の良いところは、学部時代から研究を始め、研究手法を学び、着実に実験のテクニックを身につけていけるところだと思います。

 

Q: アメリカの学生に対してどのような印象を持ちましたか。

K: とてもまじめです。「なぜだろう」と私も思い、何人かの学生に聞いてみました。アメリカの名門私立大学は授業料が非常に高く、年間400万円、4年間で1,600万円かかることもあります。生活費込みだと卒業まで2,000万円ぐらいかかるでしょうか。学生の多くは奨学金を受けたりローンを組んで、まさに人生をかけて勉強に取り組んでいます。無事に卒業できれば人生の成功者となり、そうでないと借金が残るだけです。

 

Q: 学部生にアドバイスをお願いします。

K: これからの時代、英語は更に必要になります。一般企業でも、研究職でも、公務員でも、英語は必要となるので、絶対に勉強しておいたほうがよいです。また、3、4年次に英語の学術論文を読む学科もあるので、1、2年次から少しでも英語に触れておいた方が良いと思います。リーディング力は最低限必要です。演習すらできないことになってしまいますので。理想を言えば、スピーキングも訓練して、海外の大学で授業を受けられる程度の英語力を身につけられるとよいですね。理学部でも、英会話教室等に通うような高い意識を持った学生もいます。

 専門分野を持っていて、その分野を勉強しにアメリカなど海外に行けば、生き残れると思います。なるべく多くの学生に、海外で活躍できる人間になってもらいたいですね。