今回インタビューを受けてくださったのは、英語科目部委員としてもご尽力いただいた人文社会科学部の鈴木実佳教授です。

 

Q: ご担当の教養英語科目はどのように教えていらっしゃいますか。

鈴木先生(S): 学部生はとても素直ですが、大人しいために、授業中少し手応えが無いと感じることがあります。TOEIC演習の授業などでは「質問してね」と言ってもなかなか反応がありません。教科書の答えさえわかればよいという雰囲気が漂っています。なので、選択科目では質問が出るまで話さないことにしました。質問をした学生にはエクストラポイントをあげるなど工夫すると、とてもよい質問をする学生がいることに気づきます。自発的に内容の理解を深めようとするきっかけになればと思っています。授業では映画を題材にして、内容の理解に努めます。文法や語彙だけでなく、登場人物の台詞がどのような状況を乗り切ろうとしている時に発せられたのかを一緒に考えます。

 

Q: 教養教育英語で求められる力とはなんでしょうか。

S: 理解できなかったら、英英辞典等を使って自分で調べてみようという姿勢になることが大切だと思います。将来的に自分で学習できる準備を1、2年次にできれば良いと思います。このベースができていれば、今はBBCもオンラインで聞ける、とても恵まれた時代ですし、どんどん自分で勉強していけるでしょう。

 ただ、大学のシステムとしては「ここまで来なさい」と明確な目標を設定する事も大切です。両方を取り入れたシステムが理想的ですよね。

 

Q: 34年次で専門科目を学ぶ際に必要な英語力は何でしょうか。

S: 英米コースでは英語で卒業論文を書くことが必修となっており、そのための履修パターンはほぼ決まっています。卒論に取り組むまでに英語表現法やアカデミックライティングなどでライティングを修練します。やはり、卒論が大きな目標なので、リーディングやライティングが中心となります。英語で考え、適切な英語で書き表すためには、たくさん読む必要があるわけです。4年次にどの程度英語で書けるかが問題となってきます。一部口頭試問は英語で行われていますので、スピーキングおよびリスニングの比重は低くなってしまうものの、軽視はできません。

 

Q: 学部として取り組んでいることはありますか。

S: English caféを1学期に十数回開催しています。どの学科の学生も教職員も参加可能で、ゲームやロールプレーなどを行います。今年で2年目の取り組みですが、言語系だけでなく経済系の学生なども活用しています。

 あとは英語で行う授業を増やそうと試みています。私が担当しているのは3年生以上を対象とした専門の授業で、Vauxhall Gardensをテーマとして取り上げました。18世紀に流行ったテーマパークのようなガーデンで、ヘンデルのコンサートや新進気鋭の画家が描いた絵の展示が行われたり、ティーや軽食も楽しめた場所です。18世紀におけるイギリスの庭と比較するために、駿府城公園へも一度行きました。その日は地元のガイドさんに日本語で案内してもらったためか、いつもより出席人数が多かったのですが。運営や管理の仕方、訪問客の様子など、学生が考えるきっかけになっていることを期待します。近々、授業で学び考えたことを英語でディスカッションしてもらうつもりです。

 英語で行う授業のきっかけとなったのが、協定校のコメニウス大学(スロヴァキア)から見えた先生が英語で行った授業です。学部1年生対象の授業でしたが、彼らはそれまで英語で行われる専門の授業は受けたことが無かった。招待した先生は専門の授業でも上手に専門用語を導入していたため、「私たちでも英語の授業を受けられるんだ」という学生の感想が多く聞かれました。その授業を良いお手本として私も授業に取り組んでいます。このような授業に、より多くの学生に積極的に参加してもらうには、シラバスで何をやるかをしっかり伝えて行く必要があるかもしれませんね。

 

Q: 留学する学部生は多いのでしょうか。

S: 英米コースでは、短期長期を含めて海外留学する学生が多いと思います。TOEIC 700点以上を取得してから海外に出かける学生が多いようです。留学先については、協定校の大学情報などをガイダンスでアナウンスしていますが、先輩から情報を得る場合もあるようですね。

 

Q: 最後に、学生に求めることがありましたらお願いします。

S: オンライン英語学習システム 「ALC NetAcademy2」 (https://alc.adb.shizuoka.ac.jp/anet2/) をもっと活用しましょう。語学はコツコツとやる癖がないと伸びません。今の時代は様々なオンライン教材があるので、うまく活用して頑張ってほしいと思います。

 私のゼミでは、毎回1分間、BCCワールドニュースの聞きとり(dictationも含む)を行ってからゼミを始めます。日本語で聞いても知らないニュースに触れることで、BBCが取り上げるニュースの特徴を感じることもできます。また、BBCでは英語学習者用のサイト 「Learning English」も開設しているので、 授業時に紹介するようにしています。フットワークが軽い今こそ、躊躇せずにどんどん始めていきましょう。