SPODフォーラム2010に参加して

(工学部学生係主任(当時) 高橋 典成)

  職員能力開発(SD)を先進的に取り組んでいる「四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)」の2010フォーラムに初めて参加しました。SPODフォーラムは大学・高専の教職員が自らの能力開発のために役立つ多種多様で質の高いFD/SDプログラムならびに組織を超えた持続的な相互交流・関係づくりの場の提供を目的としています。遠路遥々松山の愛媛大学へ出向いたのですが、そこで出逢った志をともにする素晴らしい全国の大学職員の皆さん、そして熱い講師陣、城と出湯と文学の街、松山、何にも代えがたい経験をすることが出来ました。

 本研修で特に気を引いたのは、職場で使える実践型プログラムです。私はSPODでも大々的にご活躍されている愛媛大学教育・学生支援機構教育企画室副室長(准教授)秦 敬治先生のプログラムを中心に受講しました。秦先生は西南学院大で長年大学職員をされていたご経験から、教育の場に携わる人の在り方、能力というものに色々言及され、私も吸収できることが多かったです。この実践型プログラムは講師と受講者の間でのインタラクティブなワークショップ形式のプログラムです。意見を出し合い知を共同で作り上げる作業は、同じ研修生とのコミュニケーションもあいまって大学職員としての能動的な気持ち、展望を豊かに切開いて行けるものでした。
 秦先生がプログラム、「職場内での職員の能力開発手法」で紹介した米国の精神科医、ウィリアム・グラッサー博士が提唱する心理学、「選択理論」は個のひとの能力開発を解明する良い理論だと思いました。「選択理論」は「人間の行動は外部の刺激による反応ではなく、自らの選択によるものである。」という「内的コントロール理論」であるというものです。本プログラムの到達目標として、「選択理論」を使った判断を行うことができる、選択理論を使った能力開発を実践することができることを挙げています。
 「内的コントロール理論」の背景の中に、自分だけが自分を変えることができる、人は他人を変えることはできないことが挙げられています。「選択理論」は他人の見方を理解しようとする、話し合って良い方法を見つける、双方勝利の特徴を持ち、立ちはばかる問題の解決の糸口を見つけるいいアイディアを与えてくれました。
 重要なポイントは、他者評価ではなく、自己評価を促すことが大切なことだと分かりました。「人は他人を変えることはできない。」とすれば、「自分でしか人は変えられない。」すなわち、「気づき」がないと変化できないのです。今回SPODフォーラムに進んで参加した私としては、この「気づき」、「自己評価」、「内的コントロール」から参加に至る自らの能動的な気持ちを説明することが出来ました。秦先生がしきりに私たち研修生に尋ねていました。「今日のセミナーは自分の意志で参加しましたか?」と。
職員の能力開発(研修)SDをどのように進めていけばいいのか?まだ全国的には各大学で思考錯誤の段階であると思います。SDの効果・有効性、SDの実例、体系的な職員研修の在り方、職員力量の形成、求められる大学職員の資質、大学職員のキャリア開発等多々ありますが、前にもあった職員の「気づき」を如何に育むかが今後のSD活動の鍵になると思います。
最後に、今回の研修で各大学から優秀な職員の皆さんと出会うことができ、語らい、面識を深めることができました。継続的持続的なネットワークもSDには必要、松山の繁華街へ飲みにくりだすのも善し、路面電車に乗り城下街を散策、松山の歴史、道後温泉を楽しむのも善し。私の大学職員としての記録史に貴重な経験として残りました。こういった機会を与えてくれた皆さまに感謝いたします。

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