【遠山紗矢香・情報学部技術職員】SPOD報告書

SPOD報告書

情報学部 技術職員 遠山

 2012年8月22日(水)~24日(金)に開催された「SPODフォーラム2012」に参加させていただきました。SPOD加盟校の皆様が自主的に運営されているとのことで、そのきめ細かく配慮に富んだ運営に大変感銘を受けました。様々な学校から来られた方々が、教員や職員といった枠にとらわれることなく、自由に議論できる経験は貴重でした。参加者の半分は教員、残り半分が職員とのことでした。
 私は、情報学部に所属している技術職員です。教務系の方が多くいらっしゃるSPODに私が参加させていただいた理由は2つあります。1つは、教員の皆様と一緒に、情報学部の学習ポートフォリオシステムの構築と運用に従事させていただいているためです。私はこの業務を「教職協働」の場だと考えています。教職協働では、教員と職員それぞれ異なる能力の特徴を活かして一つの業務に従事することで、教員あるいは職員だけでは成し得なかった業務を実現できると考えられています。学習ポートフォリオの仕事で、私は、システムでどのような学びを引き起こしたいか、その学習目標や期待される運用形態を教員の方から丁寧に聞き取ることが必要です。また、どのような工夫をすれば教員の方の期待通りに学生に利用してもらえるかも考える必要があるため、学生への聞き取り調査も必須です。技術職員としての専門的知識はもちろん必要ですが、教員と学生の間に立ち両者を取り持つこのような業務は、技術だけでは成り立ちません。今回のSPODでも、教員の方と積極的に関わりながら職員としての特長をどのように活かすかが、よくとりあげられていました。
 2つめの理由は、技術部組織が改組されたためです。これまで技術職員は学部等に所属し、その所属部署での業務に日々従事していました。しかし、グローバル化の流れの中、専門知識を学部だけでなく全学に提供したいとの思いから、技術部は全学で一つの組織となりました。このことは、これからの技術部は自分たちのあり方を自分たちで適切に定めなければならないことを意味します。長期的な視野で技術部のあり方を考えるためには、大学そのものがどうあるべきかを学び、これからの大学へ技術部はどのように貢献できそうか、考えをまとめていく必要があります。いただいた業務依頼を適切に技術部内で配分して業務の効率化を行うことは必須ですが、教育に関わる業務なだけに、効率化だけを優先できないところもあります。今回SPODでテーマとなっていた「アクティブ・ラーニング」は、学生が主体的に活動することで理解を深める新しい学びの形態です。こうした学びでは、学生が行き詰まった時に丁寧に相談に乗ったり、専門的な機材を利用するための支援を行ったりするスタッフの存在が不可欠です。学生の主体的な学びを支援する役割が大学に期待されていることを知り、さらに、静岡大学では学生にどのように学んでもらいたいかを知ることで、技術部はより大学運営に貢献できると思います。
 これら2つの理由から、SPODでは合計4つのプログラムを受講しました。2つ受講した講義形式のプログラムの1つ目「(セミナー)高等教育の質保証に向けた認証評価のあり方と活用」では、これからの大学はどのような基準で国から評価されるかを具体的に知ることができました。国立大学も選択と集中の時代に突入しています。いかに魅力ある大学を作るかを技術部の視点から考える上で、認証評価基準を知っておくことは重要だと感じました。2つめの講義はSPOD全体シンポジウムの「アクティブ・ラーニングを通して、いかに学生に深い学びをもたらすか」です。これからの大学教育で重要とされているのは、学生が主体的に活動する中で知識を獲得していく形式です。情報学部では、アクティブ・ラーニング型の授業が昔から実践されてきましたが、教室を整備したり、きめ細かく学生を支援したりする上で、技術職員が寄与できる部分は多くあると感じました。
 ワークショップ形式のプログラムについても2つ受講しました。1つ目「学習成果をどう測定し、活用するか?」では、学士力として学生に求められる標準的な力だけでなく、大学の特色をいかに活かして学習評価基準を作るかという観点を、愛媛大学の例で示してくださいました。情報学部で支援したい学びとは何かを意識することが、ポートフォリオシステムの構築・運営にも深く影響することを感じました。2つ目のワークショップ「はじめましょう、アクティブ・ラーニング」では、実際のアクティブ・ラーニング型授業を教員・職員の混成グループで体験でき貴重な経験となりました。立場の異なる参加者が意見を出しあって互いに分かり合い、考えをまとめるのは難しいことです。だからこそ、どのように意見交換の場を作ればうまく交流できるかを知ることが、授業だけでなく円滑な組織運営にも役立つと思いました。
 こうした貴重な機会を頂戴したことに感謝申し上げます。