中国文化公開授業の実施とその教育的効果
中国文化公開授業の実施とその教育的効果
大学教育センター 翟勇
昨年度、 静岡キャンパスにおいて二つの中国文化公開授業を実施しました。 一つ目は「朗読の世界へようこそ――基本技術から感情表現まで」、 二つ目は「《KAO——仮面・臉譜・隈取》 ――人類共通の仮面文化から京劇の臉譜、歌舞伎の隈取、 そして知られざる日中文化芸術交流の歴史を紹介します」という講座です。
これらの授業は、学生の主体的・能動的な学びを促すことを目的として企画されました。単なる知識の伝達にとどまらず、学生が自ら考え、感じ、表現することを重視し、双方向的かつ体験的な授業構成としました。
「朗読の世界へようこそ」では、 発声・発音の基礎から感情表現に至るまでを段階的に学び、 詩や散文を用いて朗読の実践を行いました。 中国語のリズムや抑揚、言葉に込められた感情を音声で表現することで、 学生は言語への理解を深め、 同時に自己表現の力を養うことができました。発表の場では、他者の表現に耳を傾ける姿勢や、 表現に対するフィードバックのやり取りも活発に行われ、学習コミュニティとしての一体感も生まれました。
また、「《KAO——仮面・臉譜・隈取》」では、中国の京劇と日本の歌舞伎における顔の化粧文化を比較しながら、それぞれの美学や文化的背景、 さらには仮面という表現形式が人類共通の文化要素であることについて考察を深めました。学生は臉譜の模写やデザイン体験を通して、視覚的・身体的に文化を理解する機会を得ました。こうした体験は、ただ知識を学ぶのではなく、文化の価値や意味を自分の中に落とし込むきっかけとなりました。
両講座を通じて、学生からは「文化の背景を知ることで言葉の理解が深まった」「学びの意欲が高まった」「発信する力がついた」といった前向きな反応が多数寄せられました。実際に、 講座参加者のレポートや成果物には高い水準の考察と表現が見られ、 最終成績にも好影響が表れました。 知識と体験を結びつけることで、 学びの定着が促進されたと考えられます。
このような公開授業は、 語学教育と文化教育を有機的に結びつける貴重な機会であり、 学生の主体的な学びを引き出す効果が高いと実感しています。 今後も引き続き、 多様な文化的テーマを取り上げ、学生が自ら考え、学び、発信する力を育てる教育実践を展開していきたいと考えています。
※ 本講座は、人文社会科学部学部長裁量経費(中国語茶園―毛毛語)の支援を受けて実施され、講師は盧思氏が務めました。