
【新聞社の舞台裏を支えるWebエンジニアとして】
私は、毎日新聞社の東京本社にある「デジタル推進本部 ソリューション開発センター」のデベロップメントグループで、Webエンジニアとして働いています。主にバックエンドやインフラを担当しており、ニュースサイトやアプリ、課金システム、 CMS(コンテンツマネジメントシステム) など、社内のさまざまなサービスを内製する部署で、設計からリリース後の運用まで一貫して関われるのが、この仕事の魅力です。
システムの将来的な運用や改修も見据えた設計を行い、複雑な要件を整理しながら一つひとつ形にしていく工程には、計画的に物事を進めるのが好きな自分の性格とも相性の良さを感じています。実際に、設計や調整といった細かな作業にも楽しさとやりがいを見出せるタイプだと思います。
現在、入社5年目になりましたが、印象に残っているのは、2年目に担当した高校野球の速報システム刷新プロジェクトです。レガシーな構成を新しい仕様に作り直し、要件整理から開発、テスト、リリースまで一通り経験しました。技術的な学びはもちろん、関係者との調整やチームでの協力など、エンジニアとしての総合的な力を問われる貴重な経験となりました。
自分自身が高校野球ファンということもあり 、好きなことが仕事につながる喜びを味わうとともに、メイン開発をやり遂げたことは、Webエンジニアとして大きな自信につながりました。

【キャリアの軸をつくった、静岡大学での文工融合の学び】
2017年に静岡大学情報学部に入学しました。当時は「グローバル人材」や「英語力」が注目されていたので国際系の進路も考えていましたが、ITや情報分野の将来性にも魅力を感じ、文系と工学系を横断して学べる情報学部を選びました。
入学時はプログラミングもできず、ITの専門用語もほとんど分からないところからのスタートでしたが、基礎から丁寧に学べる環境が整っていたおかげで、知識を積み上げていくことができました。
情報社会学科に在籍しつつ、「先端情報学実習」を利用して行動情報学科の研究室に所属していました。情報倫理や社会調査、マネジメントなど、幅広い分野を学ぶなかで、技術を「どう社会に活かすか」を考える視点が身についたと感じています。
たとえば、「自動運転で事故が起きた場合の責任は誰にあるのか」といった法的・倫理的なテーマや、「ITで組織にイノベーションを起こすにはどうすればよいか」といった実践的な研究に触れ、単に技術を学ぶだけではなく、社会との接点を考える重要性を実感しました。文工融合の視点を学べたことは、幅広い分野のシステムを構築する現在の仕事の土台になっています。
大学での男女比については、情報社会学科はほぼ半々でしたが、研究室のあった行動情報学科では体感で7〜8割が男性でした。ただ、性別に関係なく意見が交わせるフラットな空気があり、特に居づらさを感じることはありませんでした。真剣に学びたい人が尊重される環境だったことは大きな財産です。
【部署初の女性社員として歩んだ5年。次世代につなぐキャリアのかたち】
就職活動では、「技術を通じて社会に貢献したい」という思いを軸に、自分に合った進路を模索しました。インターンシップで訪れた毎日新聞社では、温かくフラットな社風や、「職種のデパート」ともいえる多様な専門職が共存する環境に魅力を感じ、技術職としての入社を決めました。
配属されたデベロップメントグループでは、私が初めての女性社員でした。結婚を機に名字が変わった際には部署内で前例がなく、手続き面で戸惑うこともありましたが、周囲の方々が丁寧にサポートしてくださり、安心して働き続けることができました。現在では、後輩の女性社員も少しずつ増えており、自身の経験を活かして、より働きやすい環境づくりに貢献したいという思いが強くなっています。
新聞社というとアナログな印象を持たれがちですが、実際には最新技術の導入にも積極的で、社内システムの多くを自社で内製しています。現在は、生成AIを含む新たなテクノロジーを活用し、業務フローや働き方そのもののアップデートにも取り組んでいます。
また、社内では女性役職者比率を増やす取り組みも進んでいます。今後はディレクター職へのステップアップも視野に入れつつ、後輩たちのロールモデルとなれるようなキャリアを築いていきたいと考えています。技術の進化を味方にしながら、組織や社会に新しい価値を生み出していく挑戦を、これからも続けていきたいです。
【数理・データサイエンス・AIの分野を目指す後輩へのメッセージ】
数理・データサイエンス・AIの分野では、まだ女性の割合が少ない印象もありますが、私の場合は性別を意識せず、自分の関心に従って自由に学ぶことができました。今では女性エンジニア向けのイベントやコミュニティも増えてきていて、働きやすい環境や選択肢が着実に広がってきています。
Webエンジニアは、性別に関係なく力を発揮できる仕事であると感じています。実際に私も、これまでの開発業務の中で、役割や立場に関係なく意見を出し合う機会が多くありました。技術やアイデアを中心に会話が進む場面が多く、自然とチームの一員として関われている実感があります。
また、多様な視点や価値観が集まることで、より良いチームやプロダクトが生まれるとも感じています。女性だからこそ気づけること、貢献できることもきっとあるはずです。最近では女性社員同士で気軽に話せる機会も増え、心強く感じています。キャリアの悩みやライフイベントに直面しても、互いに支え合いながら安心して働き続けられる職場づくりに、私も貢献していきたいと考えています。
だからこそ、もし「女性だから…」という理由で進路を迷っている方がいたら、私は背中を押したいです。その道は、すでに多くの先輩たちが切り拓き始めています。ぜひ、「自分らしくいられる分野」に進んでほしいと願っています。
