須原 菜摘さんが出張で滞在したモンゴル国立大学
須原 菜摘さん(横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院)

【これまでに関わった業務や事業】統計分析を軸に広がるキャリア

 私は静岡大学卒業後、横浜国立大学大学院に進学し、「産業連関分析」という手法を使った研究をしました。新聞などでよく出てくる「経済効果」を計算できるツールとしても、産業連関分析は知られています。そのため、産業連関分析を専門にしてから、行政との接点が増えました。たとえば、大学院(博士課程)時代の2年間、内閣府経済社会総合研究所の研究協力者として委嘱されました。業務内容としては、GDP算出に必要な「国民経済計算」(SNA)という統計のうち、年次確報で用いる製造業の産出額の推計などです。博士号を取得してからは、島根県立大学の講師として3年間勤めることになり、その御縁で島根県政策企画局が主催する統計調査課研修会「施策立案に役立つ経済波及効果の分析」の講師として呼ばれたこともありました。他にも、「中山間地域振興基本計画策定委員会」や「島根県事業認定審議会」の委員になったりと、地域にかかわるお仕事もいただくようになりました。そして現在は横浜国立大学の講師に着任し、「エビデンスに基づく政策分析」という講義などを担当しています。同時に、経済産業省「令和7年度商業動態統計調査の見直しに関する調査研究」の研究会における委員のお仕事もいただき、日本の卸売・小売業の統計把握のあり方について勉強させていただいているところです。静岡大学に在籍していたころは、こういったお仕事をいただけるとは想像もできなかったのですが、学生時代に受講した情報処理の授業など、現在の仕事では当たり前に使っている技術の土台を築いていただいたことがいまにつながっていると思います。

【後輩学生へのメッセージ】データで社会を可視化する力

 データを作成・分析する分野で女性は少数派であるケースが多いというのは、学生時代から現在に至るまで実感しています。データの作成結果ないし分析結果を共有するにあたって、それまでの苦労というのはなかなか伝わりにくい世界だと思うのですが、その目に見えないプロセスにおいて、あるいは結果主義・競争主義の世界において、男性のような戦い方を強いられる(選択せざるを得ない)場面はまだまだ多いなと思います。それでも、そのような”レア”な存在だからこそ、データサイエンスの現場において女性にチャンスが回ってきやすいのもたしかです。少なくとも私は、そのおかげで実力以上にたくさんのチャンスをいただけたと実感しています。
また、「目に見えないものを統計によって見える化する」試みに対する社会的ニーズは、時代の移り変わりとともにずっと尽きることはないと思います。たとえば「産業」という概念ひとつとっても、家庭内の無償の家事労働が含まれないという点で、労働や生産を男性中心の有償活動と捉える歴史的・ジェンダー的な価値観の反映といえるかもしれません。伝統的な産業概念を、社会構造の変化に伴ってアップデートしていくにあたって、女性の視点やアイディアも尊重されていくことと思います。そのバトンを、皆さんやさらに次の世代に渡せるように、私も引き続き頑張ります。

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