【井上知香・教職センター】新任教員挨拶
はじめまして。井上知香と申します。2024年4月に静岡大学教職センターに着任いたしました。教職を目指す皆さんの授業を担当しています。
私たちは物心つくころから、家庭とはまた別の場所、園や学校という場所で生活をします。私自身を振り返ると学校という場所は、ちょっと頑張らなくてはいけないと感じる場所でした。大学に入学し、附属の学校園を見学させていただいたときのことです。そこにいる子どもたちは自由に自分の意見を表現する場が与えられ、その表現方法を知っているように見え、その在り方に、私が過ごしてきた学校生活とは少し異なった印象を抱きました。
子ども中心や子ども主体ということが教育では大切だと言われてきていますが、それが主張されるということは、そうではない現実もまたあるということです。子どものみならず、子どもに関わる大人自身も、どこからかやってくるこうあるべき、こうしなくてはといった声ではなく、自分はどう思うのか、どう考えるのかということに耳を澄ませる必要があると感じています。現在は、子どもや先生方いる現場に出向き、子どものみならず先生方も自分の声を持てる場を創っていくにはどうしたらいいのだろうということを、その日起こった出来事を語りながら共に考えています。これは実践研究の在り方についても考えを巡らす時間となっています。
大学院時代にはフィンランドに留学する経験を得ました。その時のご縁から、今でも現場の先生方や研究者の方々との交流を続けています。国が違っても子どもの育ちに携わる者同士共感できることは多くあると知りました。それはとても嬉しいことでした。一方で、両国の違いからは日本の教育実践を逆照射して捉えなおす機会をもらいます。現場でよく聞いたのは、どうやるかよりも“Way of thinking”(どう考えるか)が大切だということでした。先生方は常に、自分たちが何を今大切にしているかを問い直しているように感じました。
学生の皆さんとも、それぞれが体験してきた教育事象を振り返りながら、教育の場とは何か、学習とは何かといったことについて共に思索できる時間を創れるといいなと思っています。