【滑田明暢・大学教育センター】新任教員ご挨拶

新任教員ご挨拶

滑田明暢(大学教育センター)

 はじめまして、滑田明暢と申します。静岡大学大学教育センター キャリアデザイン教育・FD部門に講師として着任いたしました。部門の名称の通り、着任後は「キャリアデザイン」授業の担当等に携わっております。

_「キャリアデザイン」の授業を担当するなかでは、授業、部活動、教育実習など、自分自身が学生のときに参加した様々な活動を思い出します。自分自身のキャリアを振り返ってみると、まず大学3年次から始まった演習授業が思い出されます。研究する、という環境におかれたことで、自ら望んで調べものをしたり、勉強会に参加したりするようになりました。まさに学ぶ楽しさを教えてくれた授業でした。演習授業の他には、大学卒業後の海外留学も、私のキャリアに大きな影響を与えたもののひとつです。留学先の大学では、社会心理学を学んでいましたが、そのなかで、教科書に示されている理論の背景には研究者の意思がある、ということを知りました。留学先の先生方の話を聞いて、例えば、内集団ひいき(自分の所属している集団の人々を、他の集団の人々よりも肯定的に評価する現象)などの集団間関係の理論も、第二次世界大戦で起きたようなことがどうして現実に起きたのか、という問題意識から導き出されていたのだと理解することができました。温度のないようにみえた理論にも人々の思いが込められていることを知り、「では、お前はどこで何をするのだ」と問われているような気持ちになりました。結局私は、そのときに自分が探求をしていた笑い生起場面の研究はいったんおいておき、家事分担における公平感の研究を始めることにしました。生活に必要な仕事を「誰が(どのように)担うのか」という問題は、現代の日本社会において(そして、これからの自分たちの生活の仕方において)とても大事な問題だと思ったのです。

_さて、ここまで自分自身のキャリアと大学での学びについて振り返ってみましたが、大学をめぐる状況については、私が学生だった頃と現在とでは異なっていることがあります。その一つが、地域とのかかわりです。もちろん、ボランティア活動やインターンシップ等を通して地域社会と深くかかわる、という選択肢は当時からもありましたが、現在おこなわれているほど機会は多様でなかったように思います。(地域)社会はまさに現実の問題が渦巻いている場所であり、学びの場、成長の場としては申し分のない環境といえます。ときには自分の力の足りなさを感じ、いったい自分にどんな経験や技術があれば、そしてこれからどのようなことを進めていけば、目の前の問題は解決できるのだろう、と考えることになるかもしれません。地域社会とかかわりながら活動をするなかで、何らかの形で課題解決に貢献することができ、成果と自信を手にする、ということもあると思います。また、何が問題なのか、を見つけることができただけでも、大きな前進あるいは発見といえるかもしれません。問題の本質は簡単に見つけられるものではないように感じますし、問題として見えていたことが実は問題ではない、ということを発見することもあると思います。

_地域社会とのかかわりのなかで学ぶのは、学生だけではなく、私自身も同様であると考えています。大学の教職員として、一市民として、何ができるかを考え、教育研究に力を注ぎたいと考えています。