SPODフォーラム2011に参加して

(学術情報部産学連携支援課 増田 智史)
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 『SPODフォーラム2011』(主催:「四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)」、会場:愛媛大学城北キャンパス)に2011年8月23日(火)~26日(金)の四日間にわたり参加させていただきました。まず、研修の機会を与えてくれた静岡大学の皆さま、快く送り出してくれた産学連携支援課の皆さまに対し、この場を借りてお礼申し上げます。志望動機としては、産学連携業務に関するSD講演会に出席し、目的意識を持って研修・講演を受講する事が日々の業務に新たな意識・方法を取り込む好機であると実感したこと、大学職員にも問題解決能力が必要という話を聴いたことが挙げられます。『SPODフォーラム2011』のプログラム内容が自身に必要な各種能力向上の場として魅力的であり、藤井産学連携支援課長からも講師の先生についてご紹介いただき参加を希望しました。
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8月23日(火)『ディプロマポリシー・カリキュラムポリシー・アドミッションポリシーの開発と一貫性構築の進め方』
(講師:小林直人先生 愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室 室長)
少子化により大学間で学生の奪い合いが続くなか、大学がどんな形で学生を世に送り出せるかを明確にすることが受験生本人や保護者への訴求力となる、と感じました。この大学でなくては、と思わせるような独自性をどうPRするかが重要だと思います。教務等の経験がなく十分な理解には至りませんでしたが、教育の場である大学について考える機会となりました。

8月23日(火)『一人ひとりが広報パーソン』
(講師:河野太志先生 愛媛大学 広報室長)
愛媛大学の広報活動として学長自身が広報パーソンとなり行う取り組みや地元マスコミと連携しての積極的な発信などの事例紹介がありました。本学でも目にする機会が多く、受講前に持っていたイメージも上記のような「攻めの広報・戦略的広報」です。ただ、それとは別に存在する不可欠な広報とは本来望まない不測の事態への備えである「守りの広報・危機管理広報」(不祥事等への対応)でした。会見の言葉一つで世間の見方が大きく変わるのは、昨今の事例でも数多く見られます。教員・学生間トラブルを想定しての模擬記者会見を目の当たりにした時には、広報担当者の重責がどれほどのものかという一端を垣間見ました。

攻め、守りどちらにおいても、好意的な報道をしてもらうために大切なのは日頃から報道関係者と円滑な関係を築くこと、という言葉が印象的です。

8月24日(水)『ニーズに合わせた初任者研修作成講座』
(講師:宮田政徳先生 徳島大学 大学開放実践センター 准教授

 講師:吉田 博先生 徳島大学 大学開放実践センター 助教)
教職員が初任時を振り返り初任者研修に望むものを提案しました。教員の意見として、大学の学生レベルを事前に把握できると講義の参考になるというものがありました。他プログラムも含め多くの教職員が口にしていたのが、学生レベルの低下という問題です。学生と応対する機会があまりないのですが、話を聞くにつれ高等教育機関である大学にとって学生のレベル低下は看過できない問題と考えさせられました。

8月24日(水)『職場で使えるグループワーク』
(講師:SPOD次世代リーダー養成研修第1期生)
KJ法を用い、テーマ「リーダーに求められる素養」についての意見を出し合い、現在の立場から望むリーダー像、将来の自身があるべきリーダー像を作り上げていきました。テーマ追求と並行し問題解決手段であるKJ法の習得をはかる講義であり、KJ法を順序だてて学びながらグループ内で実践、意見を出し合い集約し最後にグループとしての意見を模造紙に図案化しての発表となりました。各グループとも趣向を凝らした発表が相次ぎ、自身の創造力不足を感じた講義でもあります。

本講義ではSPOD受講経験者が講師を務めており教える側に回っての緊張感が伝わってきましたが、決して講義の内容が拙いということもなく、入念な準備がうかがえました。

8月25日(木)『プレゼンテーションの極意-聴き手を魅了する秘訣とは?-』
(講師:田中省三先生 愛媛大学 教育・学生支援機構 客員准教授)
プレゼンテーション(以下プレゼン)とは何か?それは話し手から聴き手へのプレゼント、という言葉が強く印象に残っています。

プレゼンの語源はプレゼントであり、プレゼントの目的は相手に喜んでもらうことです。同様に聴き手が欲しがる内容で相手を喜ばせるのが言葉の贈り物であるプレゼンです。そもそもプレゼンは伝えたい事を相手に聴いてもらう手段に過ぎず、目的ではありません。
例えば、先生方が研究成果を企業の方に説明する際など企業の利益につながる内容であれば、ただ聴くだけでなく質問が次々と寄せられるほど熱心に聴いてくれます。
そうした聴き手にとって内容のある話こそが、話し手から聴き手へのプレゼントと言えるでしょう。
プレゼンとは何か?について、PREP法[①Point(ポイント・意見)②Reason(理由)③Example(具体例)④Point(ポイント・意見)]という流れで書いてみました。こうしたPREP法ほか各種の表現技法を学び、いかに興味をひくプレゼンができるかについて追求していきました。
プレゼンの定義からして非常に頷ける内容であり、そうした意識を欠いていることを痛感しました。改まったプレゼンの場はもちろん、日常業務における報告や連絡においても基本的な事項でありすぐにでも実践すべきだと感じました。

8月25日(木)シンポジウム『高等教育機関におけるマネジメント-危機管理と情報開示の意義-』
(講師:諸星 裕先生 桜美林大学大学院教授

 講師:池田輝政先生 名城大学教授
 講師:石橋 晶先生 文部科学省高等教育局大学振興課 課長補佐)
外国大学での運営や教育に知見のある、諸星先生がTVコメンテーターならではの弁舌をふるっていたのが印象的です。夜間の情報交換会においても、諸星先生のお話を伺う機会があり、シンポジウム以上に多くの話をされていました。

8月26日(金)ラウンド・テーブル『教職協働』
(ファシリテーター:渡邊正則先生 愛媛大学 教育学生支援部 教育企画課 課長)
教員、職員が大学運営という共通目的に対し、どう職務に取り組んでいくべきか、双方の力を相乗的に活かすにはどうすべきか、をテーマに大学職員4名で話し合いました。

職員が教員からの信頼を得るために必要なのは、個人、組織どちらにおいても実績を積み上げていくことが何より重要である。という意見が印象的です。

8月26日(金)『大学職員のための企画力養成講座①②』
(講師:秦 敬治先生 愛媛大学 教育・学生支援機構教育企画室 副室長・准教授)
業務改善、新しい取組みに求められる「問題発見・解決能力」、「企画提案力」の手法を学びました。二日目講義『職場で使えるグループワーク』を応用・発展させた実践編といえるものです。違いは、発表した解決案に対しての問題点を聴き手が遠慮せずに指摘していった点でした。他者からの指摘を受け、自らの考えた解決策から問題を洗い出しまた新たな解決策を探る、その繰り返しにより常に高い問題発見能力・解決能力を持つ事を意識付ける講義でした。

4月採用の職員2名と業務についての意見交換をしましたが、時間の経過とともに慣れてしまったり目を瞑るようになったことも話題となり、新たな気持ちで取り組むことも大切と思わされました。幅広い年齢層の方と交流ができるのも、本研修の大きな意義であると言えるでしょう。

『SPODフォーラム2011』は「21世紀に生きる大学・高専教職員の創造」という全体テーマのもと、四国内加盟校だけでなく全国から国公私立大教職員が集まっており参加者同士の意見交換や相互交流の場として非常に有意義なものでした。国立大学職員とは研修などをともにしても、私立大学の方と意見交換をする機会はなかなかありません。本研修ではそうした私立大学を含め他大学の方と多くの意見を交わす事ができたという点でも非常に刺激となりました。
 最後になりますが、研修で得た事や感じた事を日常に持ち帰り、理論と実践を組み合わせて業務や判断に活かすことが研修の意義だと思います。意義のある研修だったと自他共に感じられるよう業務に取り組んでいくとともに、今後も静岡大学として多くの教職員の方が継続的にこうした研修に参加できることを期待します。ありがとうございました。