SPODフォーラム2011に参加して

(財務施設部契約課 久田 徳人)
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 2011年8月23日(火)~26日(金)にかけて愛媛大学城北キャンパスにおいて開催されたSPODフォーラム2011に参加しました。4日間にわたり実施された多彩な内容の中から、3つ選択し2日間受講しました。
 実践的に行われる諸課題をこなしながら「知っていることとできることは異なる」ことを改めて認識しました。また、研修を通じて知り合えた意識の高い教職員の方々との交流は、今後の財産になりました。このフォーラムに参加できたことに感謝し、今後の職務に生かしてまいりたい。

【8月24日(水)】
職場で使えるグループワーク-効果的な実践手法-1-2
講師:SPOD次世代リーダー養成研修第1期生
概要:ブレイン・ストーミング、KJ法の実践
感想:
ブレイン・ストーミング実践において、思いついたことを10枚以上付箋に記入するよう指示ありました。はじめはなかなか難しくできませんでしたが、2回目は、徐々に量が増えていきました。
4人で行ったKJ法では、それぞれの共通点や異なる意見を発見することができ、楽しんでまとめることができました。しかし、最後の発表資料を作るのは、時間の制限や意見の相違があり大変でした。
発表では、他班のまとめ方や発表方法がそれぞれ異なるため、とても勉強になりました。
この研修は、SPOD次世代リーダー養成研修第1期生により行われました。研修を終えた者が、これから学ぶものを教えるという相乗効果をねらった研修内容も参考になりました。

【8月25日(木)】
プレゼンテーションの極意-聴き手を魅了する秘訣とは?-1-2
講師:田中省三(愛媛大学)
概要:タイトル・サブタイトルの作成等
感想:
プレゼンテーション極意とは、「聞き手の方々がもっと聴きたくなるために、何ができるかを聞き手の立場から逆算することである」この言葉を聴いたとき、プレゼンテーションへの考え方を改めました。今までは、内容を如何に相手に伝えるかを重視するあまり、聞き手の配慮を忘れていました。
他にも「タイトル・サブタイトルの作成で重要なことは、説明は情報だけを伝えるのではなく感情を伝えることである」や「説明内容を通じてその先にあるメリットや明るい未来を伝える」、「タイトル・サブタイトルを使って30秒ほどでよいのでミニ・プレゼンを行う」等、大変参考になりました。 高等教育機関におけるマネジメント-危機管理と情報開示の意義-
講師:諸星裕(桜美林大学)、池田輝政(名城大学)、石橋晶(文部科学省)
感想:
諸星氏から「大学には危険が多い。見慣れた景観の中に危険があり、なかなか認識しにくい。加えて、大学生の活動には、部活動を含めて危険が多くある。つまり、危険があるのは当たり前であり、一通りのシミュレーションは、当然すべきである。やはり、危機管理の専門家に相談し指摘を受けるべき。」といった話がはじめにされました。
 石橋氏からは、「教育情報の公表は、教育機関として社会に対して説明責任を果たすことが求められる最低限の部分です。したがいまして、情報の公表は、各大学が戦略的に取り組んでいただきたい。今後の課題は、学生や保護者が公表された情報を比較しやすくするために、データベース化を検討しています。」という話がされました。
コメントでは、池田氏から「データベース化すると大変お金がかかるので、膨大な作業量と費用負担をどこがするべきかという問題が残る」といった意見や諸星氏から「なんでも法整備化するのではなく、当事者(大学)に任せるべきではないか」といった意見がありました。
 当事者によって見方や意見の違いがあり、大学として何を選択し実践するかが重要になると認識しました。
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【8月26日(金)】見学のみ
四国キャンパス元気プロジェクト
参加者:SPOD加盟校所属の学生
概 要:研修プログラム案の作成・説明
感 想:
 学生が自分たちの考えた研修プログラム案について真剣に議論している姿を見学することができました。このプロジェクトで実践する物事をまとめる手法・議論・発表は、学生の能力向上に大いに役立つ内容でした。
 また、進行も学生が行うため相乗効果がみられ、高度な内容を実感しました。
 
愛媛大学ミュージアム
展示目的:学術研究成果の公開・発信 
感  想:
 研究成果や愛媛大学の歴史をわかりやすく展示していました。
 研究成果の専用パネルだけでなく、テレビで取り上げられた内容を放送するなど展示方法に工夫があり、特に大学で製作した人工ダイヤモンド「通称;ヒメダイヤ」には興味を惹かれました。
 ミュージアムは、城北キャンパスのほぼ中央にあり、キャンパス内のどこからでも立ち寄りやすい場所にあります。
 見学したときも愛媛大学の先生や学生が他大学の人たちを案内するなど、大学広報として重要な位置づけであることを認識しました。


【用語の説明】
SPOD(Shikoku Professional and Organizational Development network in higher education)
SPODフォーラムは、大学・高専の教職員が自らの能力開発のために役立つ多種多様で質の高いFD/SDプログラムならびに組織を超えた持続的な相互交流・関係作りの場の提供を目的としている。

FD(Faculty Development;ファカルティ・ディベロップメント)
大学教員の教育能力を高めるための実践的方法のことであり、大学の授業改革のための組織的な取組の総称。

SD(Staff Development;スタッフ・ディベロップメント)
大学等の管理運営組織が、目的・目標の達成に向けて十分機能するよう、管理運営や教育・研究支援に関わる事務職員・技術職員またはその支援組織の資質向上のために実施される研修などの取組の総称。

ブレイン・ストーミング
 集団(小グループ)によるにアイデア発想法の1つで、会議の参加メンバー各自が自由奔放にアイデアを出し合い、互いの発想の異質さを利用して、連想を行うことによってさらに多数のアイデアを生み出そうという集団思考法・発想法のこと。
米国の広告代理店BBDO(現BBDO Worldwide Inc.)の副社長だったアレックス・F・オズボーン(Alexander Faickney Osborn)が1940年前後に考案したもので、「頭脳に突撃すること」として、このように呼んだ。省略して、「ブレスト」「BS」などともいう。
ブレイン・ストーミングを行う際には次のようなルールがある。
1.批判は行わない。提出されたアイデアに対する批判や判断、意見はブレスト中排除する。
2.奔放なアイデアを歓迎する。つまらないアイデア、乱暴なアイデア、見当違いなアイデアを歓迎する。
3.アイデアの量を求める。アイデアは多いほどよい。
4.他人のアイデアを修正、改善、発展、結合する。出されたアイデアの改善案や組み合わせなども歓迎する。

KJ法
文化人類学者川喜田二郎(東京工業大学名誉教授)がデータをまとめるために考案した手法。
無秩序で雑然とした定性データ(事実、意見、アイデア)群を、一度カードや付箋紙などに分解し、これを人間の直観力を用いて図解・文章に統合することで、意味や構造を読み取り、まとめていく方法。個人の思考と集団のそれをほとんど区別しないため、個人の発想技法としてだけではなく、複数の人間による共同作業、合意形成などにも使われる。