学際科目フォーラムの感想

(大学教育センター スティーブ・ユーリック)
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 私の感想はフォーラムの目的から少し離れているかも知れません。本来の目的は学際科目自体の知識を深めたり、そのありかたについて議論することでしょう。もちろん当フォーラムは学際科目について学ぶ機会になり、学際科目というのはどんなものかおおよそ理解できました。しかし、わたしが一番考えさせられたポイントは、大学全体の授業の内容のことです。

 竹之内先生のお話を聞いて、授業が一方通行にならないようにかなり工夫なさっているという印象を受けました。ディスカッションを行ったり、学生に発表させたり、学生参加型の授業を心がけているようです。竹之内先生の授業を受けた経験のある学生や卒業生たちがフォーラムに参加し話してくれたのは、非常によかったと思います。彼らのコメントで竹之内先生の授業を高く評価していることがわかりました。また、その授業の改善点ついてのコメントがあったのは注目すべきだと思います。授業の内容や形式を一方的に決めるということではなく、学生と一緒に考えてやっていく姿勢はすばらしいことではないでしょうか。

 私も語学の授業で学生に積極的参加できるような環境づくりに励んでいます。言うまでもありませんが、これは簡単に出来ることではありません。その原因のひとつとしては、ディスカッションや発表の機会がある授業がまだ大学に少ないということです。少ないからこういう授業に慣れるのに苦労する学生もいますし、自分で考えて発表する機会が少ないと上手になれない学生もいます。おそらく静大の学生がとる授業の多くがまだ講義型で、学生に求められているのは聞くこととメモを取ることだけでしょう。演習という授業でも、学生がディスカッションしたり発表したりすることもまだ少ないようです。フォーラムが終わってから、参加した学生にこれについて聞いてみました。やはり竹之内先生の授業というのは珍しいということを確認できました。

 講義型の授業が悪いという話ではありません。講義はもちろん大学の授業に必要です。しかし、今の割合でいいかどうかを考えてもいいではないでしょうか。また、講義型授業でもペアやグループの課題を用いることによって学生のモチベーションが高まったり、応用力が増えたりすることもあるでしょう。フォーラムに参加した学生の発言の中で、机の上の話よりも、学生自身と専門知識の関係がはっきりした学び方をしたいという声がありました。また、現場の声を聞きたいという意見もありました。私たち教員はこれを踏まえて、再び授業のありかたを考慮したほうがいいと思います。学生個人個人はいろいろな経験、異なる意見、考え方などを持っています。大学生に得てもらいたい知識があるのは言うまでもありません。しかし、知識を詰め込むのだけではなく、学生が自分で考える力を養うのは、大学教育の目標のひとつになっているはずなのです。学生の個性や、アイデンティティなどは豊かな材料になります。私はこれらを授業で活用するべきだと考えます。